冬の日の散歩 アンティークショップにて
一人旅の愉しみに、とくに目的を持たない散歩がある。
自分の体調に合わせて歩きたい場所を歩き、長居したいところでゆったりすごし、ときに、楽しい出会いがある。自身の身を守らなければならない点はあるが、今のところ一度もトラブルに遭遇していないし、出会ったひととは、帰国後も連絡を取り合っている。
パリのマダムやムッシュは、私のような一人旅の女性にとても優しい。頭のなかにあるフランス語を駆使しても、会話にならないことがあるが、必ず相手が歩み寄ってコミュニケーションを保ってくれる。無意識のうちに、セキュリティ面での緊張をしているのだと思うが、それでもなお、現地のひととの出会いは、最高の宝ものになる。フランス語や英語を交えたやり取りは、帰国してからでも、旅の思い出を温かなものにしてくれる。
帰国の日、自分の好きな散歩道を、あらためて歩いてみた。パレ・ロワイヤルの静けさは、夏とはまた違った趣を持っていた。アンティークショップの老夫婦は、これ以上はないという微笑みで、いろいろな説明をしてくれた。小さな本になっているのは、時代ごとの、シルバーの刻印。ラデュレのボナパルト店のファンは多いが、私はこの、ロワイヤル店も好きだ。外を歩いて冷えたからだを、オムレツのほわっとしたたまごが温めてくれた。
この日は、パリを発つ寸前だったので、一眼レフではなく、コンパクトカメラでの撮影。
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